奈良県桜井市、日本最古の道といわれる「山の辺の道」を歩くと、突如として現れる静謐な空間。それが、大神神社の摂社であり、知る人ぞ知る究極のパワースポット「檜原神社(ひばらじんじゃ)」です。
今回は、この神社に隠された驚きの歴史や、今なお解明されていないミステリーについて深掘りしていきます。
基本情報
- 所在地: 奈良県桜井市三輪
- 御祭神: 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
- 特徴: 本殿も拝殿もない、日本最古の祭祀形態を今に伝える神社。
「元伊勢」の始まり――天照大御神が最初に降り立った地
檜原神社は、別名「元伊勢(もといせ)」と呼ばれています。現在、三重県の伊勢神宮に鎮座している天照大御神ですが、かつては天皇の住まう宮中で祀られていました。しかし、第10代崇神天皇の時代、神威を畏れた天皇が宮中の外で祀ることを決意します。
その際、皇女・豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託され、最初に遷された場所こそが、この檜原神社の地(倭笠縫邑:やまとかさぬいむら)だったのです。ここから伊勢へと至る長い旅が始まった、いわば「伊勢神宮の原点」ともいえる場所なのです。
拝殿も本殿もない? 謎に包まれた「三ツ鳥居」
檜原神社を訪れてまず驚くのは、一般的な神社にあるはずの「本殿」や「拝殿」が存在しないことです。そこにあるのは、三つの鳥居が横に連なった不思議な形の「三ツ鳥居(みつとりい)」のみ。
この鳥居は、背後にそびえる聖なる山「三輪山」を直接拝むための結界の役割を果たしています。この「建物を持たず、自然そのものを神として崇める」スタイルは、原始神道の姿を色濃く残しており、訪れる者に言葉にできない圧倒的な神聖さを感じさせます。ちなみに、この三ツ鳥居の由来や正確な意味については、現在も多くの謎に包まれています。
太陽の道(レイライン)と二上山のミステリー
檜原神社には、古代の天文学や風水に関連した壮大なミステリーが存在します。それが「太陽の道(レイライン)」説です。
北緯34度32分。このライン上には、伊勢神宮、檜原神社、そして二上山(にじょうざん)が一直線に並んでいます。春分・秋分の日には、伊勢の方角から昇った太陽が檜原神社の真上を通り、二上山の雄岳と雌岳の間に沈んでいくのです。
特に、檜原神社の三ツ鳥居越しに眺める二上山の夕日は「神々しすぎる」と評判で、古代の人々がこの光景に太陽神(天照大御神)の姿を重ねていたことは想像に難くありません。
裏話:伊勢と大和の「鏡合わせ」の伝説
興味深い裏話として、伊勢の「二見ヶ浦」と檜原神社の関係があります。伊勢の二見ヶ浦では、夫婦岩の間から「朝日」が昇りますが、檜原神社では二上山の間に「夕日」が沈みます。
一説には、この二つの場所は「鏡合わせ」のような関係にあり、大和(檜原)で太陽を見送り、伊勢(二見ヶ浦)で太陽を迎えるという、壮大な太陽信仰のサイクルが形成されていたのではないかと言われています。
参拝のポイント
山の辺の道はハイキングコースとしても人気ですが、檜原神社周辺は特に空気が変わるのを感じるはずです。境内には、初代斎王である豊鍬入姫命を祀る「豊鍬入姫宮」も鎮座しており、女性の守護神としても信仰を集めています。
都会の喧騒を離れ、日本人の信仰の根源に触れたい時。三ツ鳥居の前に立ち、三輪山から吹き下ろす風を感じてみてください。そこには、数千年前から変わらない「祈りの原風景」が広がっています。
関連リンク・参考文献
[1] 貴重な三ツ鳥居がある檜原神社は、古代太陽信仰に彩られた秘密のパワースポット | Spipedia(スピペディア)
[2] センチメンタル ジャーニー 檜原神社 二上山 夕日 『太陽の道、そして逆さまの世界』※追記あり
[3] 檜原神社(初代元伊勢) [奈良県]-人文研究見聞録
[4] 檜原神社
[5] 桧原神社(ひばらじんじゃ)(桜井市 三輪) – 桜井市観光協会
[6] 桧原神社〜伊勢神宮へ続く本殿なき社、三ツ鳥居が導く信仰の源流 – 大和ふるさと手帖〜奈良だより
[7] 檜原神社(ひばらじんじゃ) | 大神神社(おおみわじんじゃ)
[8] 二上山に沈む夕日・・ | 呑気な頼さん
[9] 京の霊場 二十二社 中七社 大神神社
