京都最古の社、松尾大社に眠る「お酒」と「霊亀」のミステリー

京都・嵐山のほど近く、四条通の西の突き当たりに鎮座する「松尾大社(まつのおたいしゃ)」。平安京遷都以前からこの地を守り続ける京都最古級の神社であり、東の賀茂神社(上賀茂・下鴨神社)と並び「東の厳神、西の猛霊」と称されるほどの強い霊力を持つパワースポットです。

今回は、お酒の神様として知られるこの社の、知られざる伝説やミステリー、そしてアニメファン必見の聖地情報をご紹介します。

基本情報

  • 所在地: 京都市西京区嵐山宮町3
  • 御祭神: 大山咋神(おおやまぐいのかみ)、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
  • 創建: 大宝元年(701年)

日本第一の「お酒の神様」その裏にある渡来人の技術

松尾大社といえば、全国の蔵元から奉納された無数の酒樽が並ぶ光景が有名です。なぜ「お酒の神様」なのか。その鍵を握るのは、古代の渡来系氏族「秦(はた)氏」です。

5世紀頃、この地に入植した秦氏は、高度な土木技術で桂川に堰(大堰)を築き、農業を振興させました。その一環として伝えられたのが「酒造り」の技術です。

境内にある「亀の井」という霊泉は、醸造の際にこの水を混ぜるとお酒が腐らないと伝えられ、現在でも全国の酒造家がこの水を汲みに訪れます。

元号を変えた!?「霊亀」のミステリー

松尾大社の境内を歩くと、至る所に「亀」の像があることに気づくでしょう。実は、松尾大社において亀は神の使い(神使)とされています。

これには驚くべき歴史的エピソードがあります。奈良時代の和銅8年(715年)、松尾大社の近くで「甲羅に北斗七星のような模様がある珍しい亀」が見つかりました。これを吉兆とした当時の元正天皇は、なんと元号を「霊亀(れいき)」に改めたのです。

この伝説にちなみ、境内には「霊亀の滝」があり、撫でると幸運が訪れるという「幸運の撫で亀」も人気を集めています。

鯉に乗って急流を遡る?「鯉」の伝説

亀と並んで、松尾大社では「鯉」も神使とされています。

伝説によれば、松尾の神様が保津川を遡る際、流れが緩やかな場所では亀に乗り、急流では鯉に乗って進んだといわれています。このため、松尾大社は「出世」や「開運」の象徴として鯉を大切にしており、拝殿の脇には「幸運の双鯉(そうり)」が祀られています。

昭和の天才作庭家・重森三玲の「絶筆」

松尾大社には、昭和を代表する作庭家・重森三玲(しげもり みれい)が晩年に手がけた「松風苑(しょうふうえん)」という3つの庭園があります。

特に「上古の庭」は、社殿ができる以前の原始的な信仰形態である「磐座(いわくら)」を表現したもので、三玲が亡くなる直前に完成させた「絶筆」の庭として知られています。力強い石組みは、見る者を圧倒する神秘的なエネルギーに満ちています。

アニメ聖地巡礼:『甘神さんちの縁結び』と『有頂天家族』

松尾大社は、アニメやマンガの舞台としても注目されています。

  • 『甘神さんちの縁結び』
  • 作中に登場する「月神神社」のモデルは、この松尾大社であると言われています。三姉妹が巫女として過ごす神社の風景や、境内の酒樽、特徴的な楼門などが忠実に描かれており、ファンにとって外せない聖地となっています。

  • 『有頂天家族』
  • 京都を舞台にした人気アニメ。偽電気ブランを製造する「夷川(えびすがわ)家」が拠点とする場所のモチーフの一つとして、お酒の神様である松尾大社が関連付けられて語られることがあります。

参拝の裏技:おみくじと「樽うらない」

松尾大社ならではの楽しみが「樽うらない」です。弓矢で樽の的を射抜くというもので、お酒の神様らしいユニークな運試しができます。また、お酒の資料館(無料)も併設されており、古来の酒造りの道具や歴史を学ぶことができます。

嵐山の喧騒から少し離れ、松尾山の静謐な空気に包まれたこの社で、古代から続くお酒と霊獣のミステリーに触れてみてはいかがでしょうか。

関連リンク・参考文献

[1] お酒の神様を祀る「松尾大社」。境内の見どころや注目ポイントをチェック!|そうだ 京都、行こう。
[2] 酒の神様 酒造家が尊崇する酒造りの守り神|知る・学ぶ お酒の博物誌|月桂冠 ホームページ
[3] 松尾神社の謎・重森三玲と秦氏と磐座 – 神秘と感動の絶景を探し歩いて  Beautiful superb view of Japan
[4] https://www.youtube.com/watch?v=6uaVbj1oui4
[5] 重森三玲の4つのお庭が楽しめる、松尾大社 | Niwasora ニワソラ
[6] 京都松尾大社の本殿と重森三玲の庭園 – ブログ – 名古屋の住宅設計事務所 才本設計アトリエ
[7] 松尾大社(まつのおたいしゃ:京都市西京区)~秦氏の祀った「酒神」の本来の意味が語るもの – 摂津三島からの古代史探訪
[8] 全国の酒造家からの信仰を集める「松尾大社」─ お酒の神様と京都の神社を巡る | 日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」
[9] 亀さん鯉さん、新登場 – 京都いいとこウェブ
[10] 鯉伝説(鯉のぼりをあげない里) : 伝説・伝承
[11] 松尾大社 重森三玲、完途、千靑氏の作品を全て観賞できる -庭園ガイド
[12] 「甘神さんちの縁結び」聖地巡礼 松尾大社 | amidtaka38のブログ

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