南北朝の英雄・北畠顕家ゆかりの地「北畠神社」:美しき名勝庭園と「逃げ若」聖地巡礼の旅

三重県津市美杉町の深い山間に、かつて伊勢国を240年間にわたって統治した名門・北畠氏の本拠地がありました。現在は「北畠神社」として、南北朝時代の動乱を駆け抜けた英雄たちが祀られています。歴史ファンのみならず、近年では人気アニメの聖地としても注目を集めるこの場所の魅力を、ミステリーや伝説を交えてご紹介します。

基本情報

  • 所在地: 三重県津市美杉町上多気1148
  • 御祭神: 北畠顕能(初代伊勢国司)、北畠親房、北畠顕家
  • 見どころ: 国指定名勝「北畠氏館跡庭園」、霧山城跡、雪姫伝説の桜

日本三大武将庭園の一つ「北畠氏館跡庭園」

境内に足を踏み入れると、まず目を奪われるのが「北畠氏館跡庭園」です。室町幕府の管領・細川高国によって作庭されたと伝えられ、福井の一乗谷朝倉氏庭園、滋賀の旧秀隣寺庭園と並び「日本三大武将庭園」の一つに数えられています。

この庭園の凄みは、その「豪放さ」にあります。池の周囲に配置された巨石は、武将の力強さを象徴するかのよう。一方で、一面を覆う深い苔と、秋に燃えるような紅葉が織りなす静寂は、かつての栄華と滅びの美学を感じさせます。

「花将軍」北畠顕家とアニメ『逃げ上手の若君』の聖地

今、この神社を訪れる若者が急増している理由の一つが、人気漫画・アニメ『逃げ上手の若君』です。

作中で圧倒的なカリスマ性と美貌、そして強さを兼ね備えた指揮官として描かれる「北畠顕家(きたばたけ あきいえ)」は、この神社の配祀神の一人。彼はわずか21歳で戦死するまで、足利尊氏を二度も九州へ追い落とした「伝説の美少年将軍」です。

境内には顕家公の銅像が立ち、その凛々しい姿を拝むことができます。アニメのファンにとっては、彼が生きた時代の空気を感じられる屈指の聖地巡礼スポットとなっています。

悲劇のヒロイン「雪姫伝説」と白狐のミステリー

北畠神社には、切なくも不思議な「雪姫伝説」が伝わっています。

戦国時代、織田信長の軍勢に攻められた際、北畠具教の娘・雪姫は捕らえられ、境内の桜の木に縛り付けられてしまいました。彼女が父を想い、涙ながらに祈ると、どこからともなく一匹の「白狐」が現れ、その縄を噛み切って彼女を救い出したといいます。

この伝説にちなんだ「雪姫の桜」は今も境内に残っており、御朱印帳のデザインにも採用されています。この白狐は、北畠一族を守護する霊的存在だったのではないかというミステリーが、今も語り継がれています。

難攻不落の「霧山城」と米つき山の裏話

神社の背後にそびえる標高560メートルの山頂には、詰城である「霧山城」がありました。

この城には、敵を欺くための面白いエピソードが残っています。籠城戦の際、水不足を悟られないよう、馬の背に「米」を流しかけて、遠くの敵に「水で馬を洗っている」と見せかけたという伝説です。このことから、近くの山は「米つき山」とも呼ばれています。

実際、この地は伊勢と大和を結ぶ交通の要所でありながら、周囲を険しい山に囲まれた天然の要塞でした。なぜ北畠氏がこれほど山奥に拠点を構えたのか、その戦略的な謎を解き明かすのも参拝の醍醐味です。

訪れる方へのアドバイス

北畠神社がある美杉町は、その名の通り美しい杉林に囲まれた秘境です。アクセスは決して楽ではありませんが、一歩足を踏み入れれば、都会の喧騒を忘れるほどの神聖な空気に包まれます。

特に新緑の季節と紅葉の時期は、庭園の美しさが際立ちます。歴史の荒波に消えていった北畠一族の夢に思いを馳せながら、ゆっくりと境内を散策してみてはいかがでしょうか。

関連リンク・参考文献

[1] 昇龍道 SAMURAI Story
[2] 北畠顕家を探る『逃げ上手の若君』最新巻と聖地巡礼の魅力 | アニメインパクト
[3] 北畠神社(三重県津市)
[4] 三重歴史紀行(2):北畠氏館跡庭園|東雲旭
[5] 北畠氏館跡庭園 | 伊勢國お庭街道|伊勢神宮の参拝に繋がる[令和のお伊勢参り]|三重ガーデンツーリズム協議会
[6] 501 Not Implemented
[7] 逃げ若から始まる北畠顕家関連史跡巡りin大阪|篠目垂
[8] 北畠神社 – 津の時間。(津市観光協会)
[9] 美杉いなかツーリズム
[10] Attention Required! | Cloudflare
[11] 北畠氏館跡庭園 (三重県津市) 中部の庭園特集「庭~THE GARDEN」

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